スズメバチと一口に言っても、日本にはいくつかの種類が生息しており、それぞれ巣の形状や作る場所、そして性質(攻撃性)に特徴があります。巣を見つけた際に、どの種類のスズメバチの巣なのかを見分けることは、その危険度を判断し、適切な対処をとる上で役立ちます。最も危険とされるのが「オオスズメバチ」です。世界最大のスズメバチであり、体長も大きく、毒性も非常に強いです。巣は、土の中や木の洞(うろ)、屋根裏などの閉鎖的な空間に作られることが多く、外からは巣の全体像が見えにくいのが特徴です。巣の出入り口付近にいる蜂の大きさや攻撃性に注意が必要です。次に、都市部や住宅地で最もよく見られ、刺傷被害も多いのが「キイロスズメバチ」です。初期の巣はとっくりを逆さにしたような形ですが、巣が大きくなるにつれて球形になり、表面には特徴的な貝殻状の模様(マーブル模様)が見られます。軒下、木の枝、壁の中、屋根裏、床下など、様々な場所に巣を作ります。非常に攻撃性が高く、巣に近づくと執拗に追ってくることがあります。直径数十センチにもなる大きな巣を作ることも珍しくありません。「コガタスズメバチ」は、キイロスズメバチとよく似ていますが、体が一回り小さく、巣の形状も異なります。初期の巣はフラスコのような形をしており、女王蜂が巣を作る場所を探す際によく見られます。巣が大きくなると球形になりますが、キイロスズメバチほどの大きさにはならず、巣の表面の模様もあまりはっきりしません。比較的低い木の枝や生垣、軒下などに巣を作ることが多いです。キイロスズメバチに比べるとやや温厚ですが、巣を刺激すれば当然攻撃してきます。その他にも、「モンスズメバチ」や「クロスズメバチ(ジバチ)」などがいますが、これらは比較的おとなしい性質とされています。しかし、どの種類のスズメバチであっても、巣には絶対に近づかない、刺激しないことが鉄則です。巣の形状や場所から種類を推測することは可能ですが、最終的な判断と駆除は必ず専門業者に依頼してください。素人判断は非常に危険です。
巣を見ればわかるスズメバチの種類別特徴と危険度