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古本の中からこんにちは虫との遭遇体験

あれは、神保町の古書店街を散策していた時のことでした。古本特有の、少し埃っぽいけれどどこか懐かしい匂いに誘われ、一軒の古書店に入りました。棚にぎっしりと並べられた本の中から、ずっと探していた絶版の文学全集を見つけたのです。表紙は少し色褪せていましたが、中の状態は悪くなさそう。値段も手頃だったので、迷わず購入しました。家に帰り、早速その本を開いてみた時のことです。ページを一枚めくると、何やら小さな、半透明のような虫がササッと動いたのです。一瞬、目の錯覚かと思いましたが、もう一度ページをめくると、また別の虫が。体長は1ミリほどでしょうか、慌てて本を閉じました。これが噂に聞く「本の虫」か、と妙に冷静な自分がいました。古本を買う以上、こういうリスクはある程度覚悟していましたが、実際に目の当たりにすると、やはりショックです。他のページにもいるかもしれない、他の本に移ったらどうしよう、と不安が頭をよぎりました。ひとまず、その本をビニール袋に入れて隔離し、インターネットで対処法を検索しました。どうやらチャタテムシという虫らしく、湿気を好み、カビなどを食べるそうです。駆除方法としては、掃除機で吸い取る、ブラシで払う、風通しの良い日陰で干す、などが挙げられていました。幸い、見つけた虫は数匹だったので、私はベランダで本のページを一枚ずつ丁寧にめくりながら、柔らかい絵筆で虫を払い落とすことにしました。小一時間ほどかけて全てのページを確認し、虫がいないことを確かめてから、数時間、日陰で風に当てました。その後、念のため他の本とは少し離して本棚に収めました。あの遭遇以来、古本を購入した際は、まず状態をよく確認し、必要であれば「虫干し」をするようにしています。古本との出会いは一期一会ですが、ちょっとした手間をかけることで、安心して読書を楽しむことができるのだと学びました。

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