床下に潜む脅威キクイムシの正体
家の中で、ふと気づくとフローリングや柱、木製家具の表面に小さな穴が開いていたり、その周辺に木くずのような細かい粉が落ちていたりすることはありませんか。もし心当たりがあるなら、それはキクイムシの仕業かもしれません。キクイムシは、木材を内部から食い荒らす害虫の総称です。日本で家屋に被害を与える代表的な種類としては、ヒラタキクイムシ類やナガシンクイムシ類などが知られています。ヒラタキクイムシは体長3ミリメートルから8ミリメートル程度の平たい体つきで、赤褐色や黒褐色をしています。主にラワン材やナラ材など、広葉樹の辺材(丸太の外側の部分)を好み、特に比較的新しい建材や家具に被害を与えやすい傾向があります。一方、ナガシンクイムシはより多様な木材を食害し、針葉樹にも被害を及ぼすことがあります。キクイムシの被害は、成虫ではなく幼虫によって引き起こされます。成虫が木材の表面や導管内に産卵し、孵化した幼虫が木材内部を餌として食べ進みながら成長します。幼虫期間は種類や環境条件によって異なりますが、数ヶ月から数年に及ぶこともあります。幼虫は木材内部でトンネルを掘り進むため、外からは被害に気づきにくいのが厄介な点です。そして、十分に成長した幼虫は蛹になり、やがて成虫となって木材の表面に小さな穴(直径1ミリメートルから2ミリメートル程度)を開けて脱出してきます。この時に、内部で食べかすや糞が混ざった木粉(フラスと呼ばれます)を穴から排出するため、木粉の存在が被害発見の手がかりとなります。キクイムシの被害は、美観を損ねるだけでなく、木材の強度を低下させ、建物の耐久性や家具の寿命に影響を与える可能性があります。早期発見と適切な駆除が重要となるのです。