チャバネゴキブリは、飲食店にとって最も対策が重要視される害虫の一つです。その理由は、飲食店がチャバネゴキブリにとって理想的な生息環境を提供しやすいからです。そして、この飲食店での発生が、周辺の住宅や他の施設への拡散源となることが少なくありません。では、なぜ飲食店はチャバネゴキブリが発生しやすいのでしょうか。第一に、豊富な「餌」の存在が挙げられます。調理過程で出る食品カス、床にこぼれた食材、油汚れ、ゴミ箱の中身など、チャバネゴキブリにとって魅力的な餌が常に存在します。彼らはわずかな量の餌でも生き延び、繁殖することができるため、清掃が行き届いていない場所は格好の餌場となります。第二に、「水」へのアクセスのしやすさです。厨房のシンク周り、床の排水溝、冷蔵庫や製氷機の周辺、結露など、湿った場所は常に存在します。チャバネゴキブリは水を求めて集まり、これらの場所を隠れ家や繁殖場所として利用します。第三に、「隠れ家」となる場所の多さです。厨房機器の裏側や内部、壁の隙間、棚の奥、段ボール箱の中など、暖かく暗くて狭い場所は、チャバネゴキブリにとって絶好の潜伏場所となります。これらの場所に一度住み着くと、発見や駆除が困難になります。さらに、食材や資材の「搬入」に伴う外部からの持ち込みリスクも常に存在します。仕入れ先の倉庫や輸送車両で付着したチャバネゴキブリが、荷物と一緒に店内に持ち込まれるのです。これらの要因が複合的に絡み合い、飲食店ではチャバネゴキブリが繁殖しやすい環境が形成されます。そして、そこで増殖したチャバネゴキブリが、建物の配管や隙間を通って隣接する住宅や他の店舗へと移動し、被害を拡大させていくのです。したがって、飲食店における徹底した衛生管理と定期的な害虫駆除は、自店舗の衛生維持だけでなく、地域全体の公衆衛生を守る上でも極めて重要な意味を持っています。
飲食店からチャバネゴキブリが来る理由