家の中で見かける足の長い蜘蛛というと、多くの人がまずアシダカグモを思い浮かべるかもしれませんが、実はもう一種、非常によく見かける足長蜘蛛がいます。それが「イエユウレイグモ」です。アシダカグモとは見た目も生態も大きく異なりますが、こちらも日本の家屋環境に巧みに適応して生息しています。イエユウレイグモの最も大きな特徴は、その華奢な体つきです。体長は7ミリから10ミリ程度と小さいですが、脚が非常に長く、細いため、全体として頼りない、まさに「幽霊」のような印象を与えます。体色は淡い黄褐色や灰褐色で、目立たない色合いをしています。彼らは、アシダカグモのように徘徊することはなく、天井の隅や壁の角、家具の裏、窓枠など、薄暗くあまり人が触れないような場所に、不規則な形の網を張って生活しています。この網は、獲物を捕らえるためだけでなく、彼らの住処としても機能しています。イエユウレイグモの面白い習性の一つに、危険を感じた時に体を小刻みに、高速で振動させる行動があります。これにより、外敵の目をくらませたり、焦点を合わせにくくしたりする効果があると考えられています。もし網に触れたり、近づきすぎたりすると、このブルブルと震える行動を見ることができるかもしれません。食性は肉食で、網にかかった小さな昆虫やダニ、時には他の蜘蛛なども捕食します。特に、壁などを這う小さな虫にとっては、イエユウレイグモの網は厄介なトラップとなります。人間にとっては、アシダカグモと同様に、毒性は非常に弱く、攻撃性も低いため、直接的な害を与えることはほとんどありません。むしろ、小さな不快害虫を捕食してくれるという点では、益虫と考えることもできます。ただし、彼らが張る網は、放置しておくとホコリが溜まりやすく、見た目にもあまり良いものではありません。もし気になる場合は、ほうきなどで巣を払い、掃除機で吸い取ると良いでしょう。イエユウレイグモもまた、私たちの住環境にひっそりと適応している隣人です。その特徴を知っておけば、遭遇した時にも冷静に対処できるでしょう。