今回、私たちは害虫駆除専門会社「A社」の協力のもと、キクイムシ駆除の現場に同行取材させていただきました。現場は築5年ほどの一戸建て住宅。リビングのフローリングにキクイムシ(ヒラタキクイムシ)の被害が見つかったとのことです。まず、A社のスタッフは、被害状況の確認から始めます。「お客様から伺った箇所以外にも、被害が広がっている可能性があるので、床全体、そして壁際、家具の下などを念入りにチェックします」とスタッフの佐藤さん。ライトを当てながら、小さな虫孔や木粉(フラス)の痕跡を探していきます。場合によっては、聴診器のような器具を使って、木材内部の幼虫の活動音を確認することもあるそうです。被害範囲の特定後、駆除作業に入ります。今回のケースでは、床材への穿孔注入処理と、床下空間への薬剤散布を組み合わせる方法が選択されました。「キクイムシは木材の内部に潜んでいるため、表面からのスプレーだけでは効果が限定的です。確実に薬剤を内部に浸透させることが重要になります」。穿孔注入処理では、まず被害箇所周辺のフローリングに、電動ドリルを使って一定間隔で小さな穴を開けていきます。その穴から、専用の注入機を使って、加圧しながら殺虫成分と防除成分を含んだ薬剤を注入していきます。「薬剤が木材内部に浸透し、幼虫を駆除するとともに、残効性のある成分が新たな産卵や孵化を防ぎます」。床下での作業も並行して行われます。防護服に身を包んだスタッフが床下に潜り、床材の裏側や根太、大引といった構造材に向けて、霧状の薬剤を散布していきます。「床下は湿度が高くなりやすく、キクイムシの発生源となることもあるため、空間全体に薬剤を行き渡らせることが再発防止につながります」。作業中は、薬剤の飛散や臭いに配慮し、常に換気を行いながら慎重に進められます。全ての処理が終わると、開けた穴は木栓などで丁寧に塞ぎ、作業完了です。「駆除後も、一定期間は保証をお付けし、もし再発があれば無償で対応します」と佐藤さん。プロの知識と技術、そして丁寧な作業があってこそ、厄介なキクイムシを確実に駆除できるのだと実感した取材でした。
プロの技拝見キクイムシ駆除の現場