春先から秋にかけて、特に水辺の近くで大量発生し、蚊柱を作ったり家の中に侵入したりして私たちを悩ませる小さな虫、それがユスリカです。見た目が蚊によく似ているため、刺されるのではないかと心配になる方も多いですが、ユスリカは吸血する口器を持っておらず、人を刺すことはありません。その点では直接的な害はないと言えます。しかし、そのおびただしい数による不快感は無視できません。網戸や窓ガラス、洗濯物などにびっしりと付着したり、光に集まる習性があるため夜間に室内に侵入してきたりと、精神的なストレスの原因となります。また、死骸が乾燥して粉末状になり、アレルギー性鼻炎や喘息の原因となるアレルゲンになる可能性も指摘されています。ユスリカ対策の基本は、まず発生源を減らすことです。ユスリカの幼虫(アカムシ)は、河川や湖沼、側溝、水田、家庭の排水溝や雨水マスなど、汚れた水域で発生します。そのため、自宅周辺の側溝や雨水マスを定期的に清掃し、水の流れを良くすることが有効です。庭の水たまりなども発生源になりうるため、なくすように心がけましょう。次に重要なのが、成虫の家屋への侵入を防ぐことです。窓やドアに網戸を設置するのは基本ですが、網戸の目よりも小さい種類のユスリカもいるため、完全に防ぐのは難しい場合もあります。網戸に虫除けスプレーを塗布したり、玄関灯などの屋外照明を、虫が寄りにくいとされるLED照明や黄色系の光に変えたりするのも効果が期待できます。発生してしまったユスリカに対しては、殺虫剤を使用する方法もありますが、一時的な効果に留まることが多く、根本的な解決にはなりません。発生源対策と侵入防止策を組み合わせることが、ユスリカ対策の鍵となります。