米びつでよく見かける小さな茶色い虫といえばコクゾウムシが代表的ですが、実はお米を狙う害虫はそれだけではありません。種類によって特徴や対策が異なる場合もあるため、代表的な害虫について知っておくことは、適切な対策につながります。まず、最も有名なのが「コクゾウムシ(穀象虫)」です。体長2~3.5mm程度、赤褐色~黒褐色で、頭部が象の鼻のように長く伸びているのが特徴です。米粒に穴を開けて産卵し、幼虫は米粒の内部を食べて成長します。高温多湿を好み、繁殖力が高いです。対策としては、密閉容器での保存、冷蔵庫保管、防虫剤の使用、発生時の清掃・消毒が基本です。次に、米びつの中で糸を引いていたり、お米が塊になっていたりしたら、「ノシメマダラメイガ」の幼虫の仕業かもしれません。成虫は体長7~8mm程度の小さな蛾(ガ)で、羽に特徴的な帯模様があります。幼虫は白っぽいイモムシ状で、体長10mm程度まで成長します。幼虫がお米や米ぬか、他の穀粉などを食べ、成長すると糸を吐いて蛹になります。この糸がお米をくっつけて塊にするのです。成虫は食品だけでなく、衣類にも被害を与えることがあります。対策としては、成虫を見かけたら捕殺し、発生源となる食品を特定して処分します。幼虫や蛹がいる場合は、それらも除去し、容器や周辺を清掃します。密閉保存が重要で、フェロモントラップなどで成虫を誘引・捕獲するのも効果的です。また、「コナナガシンクイ」という甲虫も米を食べることがあります。体長2~3mm程度の細長い円筒形で、赤褐色~黒褐色。コクゾウムシと似ていますが、象のような口吻はありません。木材を食害する種類が有名ですが、穀物も食害します。対策はコクゾウムシと同様、密閉保存、低温保管、清掃・消毒が基本です。これらの害虫は、いずれも高温多湿な環境を好み、わずかな隙間から侵入したり、購入した食品に付着して持ち込まれたりします。種類によって見た目や被害の状況は異なりますが、対策の基本は共通しています。それは、「密閉」「低温」「清潔」「早期発見」です。日頃からお米や他の穀類の保管状況をチェックし、怪しい兆候を見つけたら早めに対処することが、被害を最小限に抑えるための鍵となります。