大切に育てている花が害虫の被害に遭ってしまった時、頼りになるのが殺虫剤や殺ダニ剤などの薬剤です。しかし、園芸店には様々な種類の薬剤が並んでおり、どれを選べば良いのか迷ってしまうこともあるでしょう。また、薬剤は使い方を誤ると、植物を傷めたり、人体や環境に悪影響を及ぼしたりする可能性もあります。ここでは、花の害虫駆除剤の選び方のポイントと、安全な使い方について解説します。まず、薬剤を選ぶ際には、必ず「対象となる害虫」と「対象となる植物(花の種類)」を確認することが最も重要です。例えば、アブラムシに効く薬剤がヨトウムシにも効くとは限りませんし、バラには使えても他の草花には使えない薬剤もあります。製品のラベルや説明書には、適用害虫と適用植物が明記されていますので、必ず確認しましょう。薬剤のタイプも様々です。スプレータイプ(エアゾール剤)は手軽に使えますが、効果が持続しにくい場合があります。希釈して使う液剤や乳剤、水和剤などは、効果の持続性が高いものが多いですが、正確に希釈する手間が必要です。粒剤タイプは、株元に撒くことで根から成分を吸収させ、植物全体に効果を行き渡らせるものが多く、効果が長期間持続しますが、即効性は低い傾向があります。害虫の種類や発生状況、使い勝手などを考慮して、適切なタイプを選びましょう。薬剤の成分にも注目しましょう。天然成分由来のもの(除虫菊エキス、マシン油など)は、比較的環境への負荷が少ないとされていますが、効果が穏やかな場合があります。化学合成された薬剤は、効果が高いものが多いですが、使用にはより注意が必要です。安全性については、農林水産省の登録があるかどうか(農薬登録番号の表示)も一つの目安になります。安全に使うためには、まず製品の説明書を熟読し、記載されている使用方法、希釈倍率、使用回数、使用時期などを必ず守ることが鉄則です。散布する際は、風のない天気の良い日を選び、風上から散布します。マスク、ゴーグル、手袋、長袖長ズボンなどを着用し、薬剤が皮膚に付着したり、吸い込んだりしないように注意しましょう。散布後は、手や顔をよく洗い、うがいをします。薬剤を保管する際は、食品や飼料と区別し、子供の手の届かない冷暗所に保管してください。正しく選んで、安全に使うこと。これが、薬剤と上手に付き合うための基本です。
花の害虫駆除剤の選び方と安全な使い方