家の中に侵入した蜂は、人間だけでなく、共に暮らすペットにとっても大きな脅威となります。好奇心旺盛な犬や猫は、飛んでいる蜂をおもちゃだと思ってじゃれついたり、ちょっかいを出したりして、刺されてしまう事故が後を絶ちません。もし、大切な家族であるペットが蜂に刺されてしまったら、飼い主はパニックにならず、冷静に、そして迅速に対応する必要があります。まず、ペットが蜂に刺されたと思われる行動(急にキャンと鳴く、顔や体を気にして掻く、特定の場所を舐め続けるなど)に気づいたら、すぐにペットを安全な場所に移動させ、蜂がまだ近くにいないか確認します。そして、刺された箇所を特定します。犬や猫は、顔周りや口の中、足先などを刺されやすい傾向があります。患部が赤く腫れていたり、熱を持っていたりすれば、そこが刺された場所です。次に、患部を冷たい水で濡らしたタオルや、タオルで包んだ保冷剤で優しく冷やします。これにより、痛みと腫れを和らげ、毒の吸収を遅らせることができます。ただし、ペットが嫌がる場合は無理強いせず、できる範囲で行いましょう。人間用の虫刺され薬や軟膏を自己判断で塗るのは絶対にやめてください。ペットが舐めてしまい、中毒症状を引き起こす可能性があります。最も重要なのは、その後のペットの状態を注意深く観察することです。人間と同じように、ペットも蜂の毒に対してアナフィラキシーショックを起こすことがあります。もし、「呼吸が荒くなる、ゼーゼー言う」「顔や全身がパンパンに腫れ上がる」「ぐったりして元気がない」「嘔吐や下痢をする」「歯茎が白っぽくなる」などの症状が見られた場合は、一刻の猶予もありません。これは命に関わる緊急事態ですので、すぐに最寄りの動物病院に連絡し、指示を仰ぎながら急いで連れて行ってください。たとえ症状が軽くても、一度は動物病院を受診して、獣医師の診察を受けるのが最も安心です。大切なペットの命を守るためには、飼い主の冷静な観察と迅速な判断が何よりも求められるのです。