キクイムシの被害を発見した場合、被害の範囲が限定的で、比較的小さな家具などであれば、自分で駆除を試みることも可能です。ただし、駆除作業には注意が必要であり、完全な駆除が難しい場合もあることを理解しておく必要があります。自分で行う駆除方法として最も一般的なのは、市販のキクイムシ用殺虫剤を使用する方法です。殺虫剤にはいくつかのタイプがあります。一つは、ノズル付きのスプレータイプで、成虫が脱出した穴(虫孔)にノズルを差し込み、薬剤を内部に注入するものです。これにより、木材内部に潜む幼虫や蛹を直接殺虫する効果が期待できます。使用する際は、薬剤が穴から逆流したり、周囲に飛散したりしないよう注意し、必ず換気を十分に行い、マスクや手袋、保護メガネなどを着用しましょう。もう一つは、木材の表面に薬剤をスプレーまたは塗布するタイプです。これは、新たに成虫が脱出してくるのを防いだり、表面近くにいる幼虫を駆除したり、あるいは産卵を防いだりする効果を目的としています。ただし、木材の深部にいる幼虫には効果が届きにくい場合があります。被害範囲が広範囲にわたる場合や、被害箇所が特定できない場合は、燻煙剤やくん蒸剤を使用する方法もありますが、薬剤が家全体に行き渡るため、使用前の準備(食品や食器の片付け、ペットや植物の移動など)や使用後の換気が非常に重要となり、取り扱いには細心の注意が必要です。これらの殺虫剤を使用する際は、必ず製品の説明書をよく読み、用法用量を守って正しく使用してください。また、薬剤によっては木材を変色させたり、臭いが残ったりすることもあるため、目立たない場所で試してから使用することをお勧めします。自分で駆除を試みても、木粉の発生が止まらない場合や、被害が床材や柱などの構造材に及んでいる場合は、DIYでの完全な駆除は困難である可能性が高いです。その場合は、無理をせず専門の駆除業者に相談することを検討しましょう。