アシナガバチの巣がまだ初期段階で、自分で落とすと判断した場合でも、安全を最優先にした正しい手順を踏むことが非常に重要です。まず、準備を万全に整えましょう。服装は、肌の露出がないように長袖長ズボンを着用し、帽子、マスク、ゴーグル、厚手の手袋(ゴム手袋や皮手袋など)、首元を覆うタオルを用意します。蜂は黒っぽい色に攻撃的になる傾向があるため、白っぽい服装を選ぶのが望ましいです。駆除に使うのは、アシナガバチ専用の殺虫スプレーが最適です。噴射距離が長く、威力のあるジェット噴射タイプを選びましょう。最低でも2〜3メートル離れた場所から噴射できるものを用意します。駆除作業は、蜂の活動が最も鈍る時間帯、つまり日没後2〜3時間経過した夜間に行うのが基本です。昼間は蜂が巣にいない可能性があり、また活動も活発なため危険です。懐中電灯を使う場合は、巣を直接照らすと蜂を刺激することがあるため、赤いセロファンを貼るなどの工夫をしましょう。準備が整ったら、巣のある場所に静かに近づきます。必ず風上から、巣から2〜3メートル離れた位置に立ち、巣全体を狙って殺虫スプレーをたっぷりと噴射します。ためらわずに、最低でも20〜30秒程度は連続して噴射し続けることが重要です。巣にいる蜂が薬剤を浴びて動かなくなるのを確認したら、すぐにその場を離れ、様子を見ます。一晩そのままにしておき、翌朝、蜂が完全に活動を停止していることを確認してから、長い棒などを使って巣を落とします。落ちた巣と蜂の死骸は、絶対に素手で触らず、ほうきとちりとり、または厚手のビニール袋を使って回収し、袋の口をしっかり縛って燃えるゴミとして処分します。巣があった場所にも再度スプレーを吹き付けておくと、戻り蜂対策になります。焦らず、慎重に手順を守ることが、安全な駆除につながります。