長年、害虫駆除の現場に携わってきたプロの視点から見ると、チャバネゴキブリの侵入経路や発生源には、いくつかの共通したパターンが見られます。害虫駆除業者の田中さん(仮名)は語ります。「チャバネゴキブリのご相談で最も多いのは、やはり飲食店や食品工場、そして集合住宅ですね。これらの場所では、発生源が複雑に絡み合っていることが多いです」。田中さんによると、一般家庭への侵入経路として非常に多いのが、外部からの「持ち込み」だと言います。「特に段ボール箱は要注意です。倉庫や配送中に卵や成虫が付着し、そのまま家庭内に持ち込まれるケースが後を絶ちません。引っ越しや荷物の受け取り時には、細心の注意が必要です」。集合住宅の場合は、隣接住戸や共用部からの侵入が大きな問題となります。「壁内の配管スペースや電気配線を通って、いとも簡単に隣の部屋へ移動します。一室で発生すると、建物全体に広がるのは時間の問題です。そのため、集合住宅では個別の駆除と並行して、建物全体の対策が不可欠になります」。また、プロならではの視点として、田中さんは「隠れた発生源」の重要性を指摘します。「お客様が気づかないような場所に巣があることは珍しくありません。例えば、冷蔵庫のモーター裏、壁の中の断熱材、シンク下の配管周り、さらにはブレーカーボックスの中なんてこともありました。我々は、こうした場所を徹底的に調査し、発生源を特定した上で駆除を行います」。駆除方法としては、発生状況や場所に合わせて、ベイト剤(毒餌)や残留性の高い薬剤の散布、隙間の閉塞などを組み合わせて行うそうです。「チャバネゴキブリは繁殖力が非常に高いので、一度発生すると根絶には時間がかかることもあります。大切なのは、早期発見と、発生源を含めた徹底的な駆除、そして再発防止策を継続することです」と田中さんは強調します。プロの知識と経験は、手強いチャバネゴキブリ対策において、大きな助けとなるでしょう。