築30年の一戸建てに暮らすAさん一家は、ある年の梅雨時期から、家の中、特に1階の和室や廊下でワラジムシが大量発生し、深刻な悩みを抱えていました。夜になると床を這い回り、時には壁を登る姿も見られ、家族全員が不快感とストレスを感じていました。市販の殺虫剤を使用しても効果は一時的で、根本的な解決には至りませんでした。困り果てたAさんは、害虫駆除の専門業者に調査と駆除を依頼することにしました。業者が調査を行った結果、大量発生の主な原因は、床下の高い湿度と、そこから室内への侵入経路が存在することにあると判明しました。Aさん宅は、建物の構造上、床下の換気が悪く、梅雨時期の湿気が床下に溜まりやすい状態でした。さらに、床下の土壌には落ち葉などが堆積しており、それがワラジムシの餌となり、格好の繁殖場所となっていたのです。そして、畳と床板の隙間や、壁際のわずかな隙間から、床下で増殖したワラジムシが室内に侵入していることが確認されました。業者による駆除作業は、まず床下の徹底的な清掃から始まりました。堆積した落ち葉やゴミを除去し、殺虫剤を床下全体に散布。これにより、床下に生息するワラジムシを駆除しました。次に、室内への侵入経路となっていた畳と床板の隙間や、壁際の隙間を特定し、専用の資材で封鎖しました。さらに、再発防止策として、床下の湿度を下げるための対策が提案されました。具体的には、床下換気扇の設置と、床下調湿剤の散布です。Aさんはこれらの対策も実施することにしました。駆除作業と環境改善策の結果、Aさん宅でのワラジムシの発生は劇的に減少し、以前のような不快な状況は解消されました。家族も安心して生活できるようになったそうです。この事例は、ワラジムシの大量発生には、多くの場合、建物の構造や環境に起因する「湿気」が深く関わっていることを示しています。表面的な駆除だけでなく、発生源となっている環境そのものを改善することが、根本的な解決には不可欠なのです。