家の中で一匹でもチャバネゴキブリを見つけたら、それは氷山の一角であるとよく言われます。その言葉の裏には、彼らの持つ驚異的な繁殖力が隠されています。そして、その繁殖力の源こそが、「卵鞘(らんしょう)」と呼ばれる特殊な卵のカプセルです。この卵鞘の存在を理解することなくして、チャバネゴキブリの根絶はありえません。チャバネゴキブリの卵は、私たちが想像するような小さな粒状ではなく、複数の卵が neatly packageされた、まるでがま口財布のような形をしたカプセルの中に納められています。これが卵鞘です。体長1.5cmほどのチャバネゴキブリが産む卵鞘は、長さ約5〜8ミリ、幅約3ミリ程度の薄茶色をしており、表面には横縞模様が見られます。そして驚くべきことに、この小さなカプセルの中には、平均して30〜40個もの卵が、二列に整然と並んで収められているのです。この卵鞘の最大の特徴は、その頑丈さです。硬いキチン質の殻で覆われているため、乾燥や物理的な衝撃から内部の卵をしっかりと守ります。さらに、多くの殺虫剤成分を寄せ付けないバリア機能も持っており、通常の殺虫スプレーを吹きかけた程度では、中の卵を死滅させることは非常に困難です。これが、一度繁殖を許してしまうと、駆除が困難になる大きな理由の一つです。メスのチャバネゴキブリは、この大切な卵鞘を、孵化する直前まで自分のお尻の先に付着させたまま持ち歩くという、他のゴキブリにはあまり見られない習性を持っています。これにより、卵鞘は常に母親によって最適な温度と湿度に保たれ、外敵から守られます。そして、孵化が近づくと、メスは安全で、かつ生まれた赤ちゃんがすぐに餌や水にありつける場所を選んで、卵鞘を産み落とします。この巧妙な繁殖戦略こそが、チャバネゴキブリが「最強の害虫」と呼ばれる所以なのです。
チャバネゴキブリの卵「卵鞘」とは?驚異の繁殖力の秘密